お気に入りの万年筆と原稿用紙でスローライフを楽しむ

- August 31, 2010 03:56 AM | 固定リンク | コメント() | トラックバック(0)

日用文房具

先日、Meisterstück 145 を愛用している旨のエントリを書いた。Mac、Apple ユーザー中心のこのブログにしては珍しく、様々な反響を頂いたので、今回は万年筆とスローライフをテーマにした記事を書いてみたいと思う。

なんだか今回はタイトルが All About なんかで記事を書いていたり、Stationary Hacks を執筆されていた土橋 正さんの記事のようだが、細かいことは気にしないで進めて行こうと思う。

万年筆は実は学生時代も使っていた。大学の頃であろうか。その当時発売されたばかりの、1本数百円のカラーインクの入った廉価なモノを時々マーキングなどの用途に使っていた。しかしその万年筆、インクが切れた時に気付いたのだが、当時はまだ一般的な文房具店ではカートリッジが置いておらず、そのまま使わなくなってしまったという経緯があった。

僕自身、筆記具として愛用してきたのは、今までは一貫して筆記用にシャーペン (0.5mm の H) と、マーキング用や塾講師時代は添削用に赤のゲルインクのボールペンだった。また、今年の頭の時点でもそのような構成で筆記行為を行っていたと記憶している。

そもそも、スケジュール管理はデジタルで行っていたし、打ち合わせにも大体 MacBook や、一時期はノート PC (ThinkPad X40) を携帯していたので、アナログな筆記行為を行うこと自体が少なくなってきていたことも確かだ。実際、今でも用途によっては (資料などを相手に見せる場合など) は、iPad や MacBook Pro が少なからず打ち合わせの場に必要なこともある。

しかし一方で、ノートも活用してきていた。

ノートは長いこと、モレスキンを何冊か使ってきていたが、春頃からプライベートの日記用に使っていたトラベラーズノートに、先日、仕事用のノートも一本化した上で移行することにして現在に至る (メモ用途には RHODIA の11番も使っている) 。
また、これらのノートに筆記する時に、先日話題にした Meisterstück 145 の太字を用いているのだ。ちなみに日記用には別の Meisterstück (一番小さいタイプのモーツアルト万年筆、初めて買った Meisterstück でもある) の細字を使っている。

RHODIA をメモ用途に使っているのにも実は意味があって、簡単なタスクを書き出す時に使っている。仕事上、簡単なタスクは結構山のようにあって、これらをノートに最初から書いていると、ノートがぐちゃぐちゃになってしまうので、一旦 RHODIA に書き出した上で、ノートにはまとめのように記しているのが現在の使い方だ。また、ノートを開くよりも RHODIA を開く方が機動性が高い、と言った理由もあるかもしれない。ノートは目的のページを開くのに多少の時間を要するが、RHODIA は基本的に書いたら切り離して使っているので、表紙を開いたページがそのまま即書けるページとなるからだ。

さて、長々と仕事でのノートの使い方などについて書いてしまったが、この話はこの辺で切り上げて、本題のお気に入りの万年筆とスローライフについて書くことにしよう。

万年筆とスローライフについて考えさせられるようになったのは比較的最近の話だ。本当に意識し出したのは、Meisterstück 145 を手に入れてからかもしれない。太字を選んだことで、無性に原稿用紙に文字を記したくなったのだ。そこでウェブで原稿用紙事情について調べ、その数日後には銀座伊東屋へ繰り出し、伊東屋ブランドの A4 サイズの原稿用紙を早速手に入れ、休日のゆったりとした時間に文字を記してみることにしてみた。

太字の万年筆でサラサラと書いているので、比較的ラフに文字を書くことができるのだが、それがまた心地よい。よく、日本語を記すには細字のペン先の方が繊細に記せてよいという話を耳にするが、確かにそれも一理あるだろう。しかし、太字のペン先で大胆に記していくのもまたよいものだ。更に言うとすると、僕の愛用しているペンは、縦方向に線を引くと太字に、横方向に引っ張ると細めにインクが出るので、文字に一種の味のようなものが出て、それがまた楽しいのだ。

ちなみに原稿用紙は伊東屋ブランドの No.121 を愛用している。この原稿用紙も、万年筆での筆記を念頭に開発されたものらしく、インクの乗りや乾きに優れている。サイズは先に書いた通り A4 で、狭い机の上に置いて書いても気になる大きさではないし、原稿用紙特有の書き出す時に入れる一種の「気合い」のようなものを入れなくても、スラスラと書き出すことができるのも特徴のひとつだ。ひとつ注文を付けたいとするならば、パッケージに「100枚バラ」との表記がある通り、100枚の原稿用紙が1枚1枚独立した形で入っているのだが、上の部分が糊で留まっていたらもっと使い勝手がよかったことだろう。また、今後欲しい品物として、原稿用紙に万年筆で筆記する時の下敷きになるような、革製のデスクマットがあったら、と思っている。

総じて言うならば、Meisterstück 145 は非常に書きやすい万年筆であるということだ。

ただし初めての1本、にはオススメできないかもしれない。初めて万年筆を買うのであれば (特に今までボールペンや固めのシャーペンを使っていたのであれば)、もっとペン先の固いモノを選んだ方が書きやすいのではないかと思う。初めての1本に僕がオススメしたいのが、非常に安いのだが書き味は心地よいペリカン製の万年筆、「ペリカノジュニア」だ。これは本国ドイツでは子供が初めて持つ万年筆として販売されているシロモノなのだが、1500円程度なのでペン先は当然スチールなのだが、非常に書きやすい。インクフローもよく、サラサラと書けてしまう。また、軸が太めながら持ち手の部分には指をすっぽり当てはめられるくぼみがあるので、書く時に非常に握りやすい。カートリッジインクも8色くらい用意されており、値段も安いのでついついいろんなインクを使うために何本も買ってしまいたくなる魅力がある万年筆だ。

このペリカンのペリカノジュニアだが、日記を書く、メモを書く、なんて用途にはいいかもしれない。しかしゆったりとした時間を原稿用紙の前で過ごすのには、ちょっと向かなそうだ。今回のテーマである「お気に入りの万年筆と原稿用紙でスローライフを楽しむ」ことを考えるとするならば、やはり個人的には太字の万年筆と原稿用紙の組み合わせがベストだと感じている。下手をしたら、太字を通り越して極太なんかのペン先でもいいかもしれない。特にペン先が細めの国内メーカーの万年筆だと極太がちょうどしっくり馴染む場合もあるのではないだろうか。

さて、そろそろまとめに入りたいと思う。

まず万年筆ライフを楽しむには、万年筆の筆記特性に慣れる必要がある。これらは、先に書いたペリカノジュニアなど廉価版の万年筆をまずは使ってみること、書き込んでみることで慣れていくのが一番なのではないだろうか。そして、日常生活の中で万年筆を「普段の筆記具」として使っていくことが、その筆記特性に慣れる一番の近道なのではないか。そうすると、その中には僕のようにその筆記特性に惹かれる方も出てくるだろう。その時、初めて「自分が本当に欲しい一本」を探すのが、きっと一番いいのではないかと思っている。最初から「自分が本当に欲しい一本」に手を出してしまうと、筆記特性に慣れる前に挫折してしまう可能性も秘めているからだ。それが高価なモノだったとしたら、余りにももったいなさ過ぎる。

僕自身、万年筆によって救われた知的人類を名乗る気もないし、どちらかと言えばかなりデジタル寄りな生活を送っている人間だ。しかしそんなデジタルな日常に、ちょっとしたアナログが介入することで、生活がより豊かになるのではないか、とも思っている。

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